高潮・津波バリアー研究会

研究会案内

会長挨拶

2011年3月に発生し、東北地方から関東地方北部の沿岸地域を中心に、津波による甚大な被害をもたらした東日本大震災は、わが国の津波対策に抜本的な変更を求めるものとなりました。これにより、従来の海岸堤防、防波堤などにより浸水対策を進めることに加え、これらでは防護しきれない最大クラスの津波に対しては、減災の考え方に基づき、被害の最小化を図るため、粘り強い防波堤の整備や避難路の充実などに重点が置かれることとなりました。また、被災後に、速やかに港湾機能を回復させ、地域の経済活動を停滞させることのないよう、港湾BCPの策定などが各港で進められています。

一方、高潮についても、近年の気候変動に伴う台風の巨大化などにより、集中豪雨による冠水被害とあいまって、高潮による浸水被害の甚大化がみられ、さらに、今後の海面上昇による被害の一層の拡大も懸念されています。また、港湾機能の多くが海岸堤防などの海岸保全施設よりも海側、いわゆる堤外地に集中していることから、高潮の被害によって物流ネットワークが分断され、産業活動の停滞を招くことのないよう、関係機関や企業などの連携により、早期に港湾機能を回復させる対策が講じられております。

このように、「減災」、「早期回復」といったキーワードで括られる今日の津波・高潮対策では、浸水による直接的な被害から防護するための海岸保全施設の整備・補強を進めるだけでなく、コンテナ、木材などの港湾取扱貨物や、押し流された車・船舶や家屋、石油・ガスタンクなどの漂流物による二次災害を防ぐことも極めて重要となっています。高潮・津波バリアーは、これらの漂流物を捕捉し、人々の避難を促すための装置であり、二次災害を防ぐことによって、多くの方々の人命と財産を守るものです。

当研究会は、港湾土木、建設資材、鋼構造などの分野の専門家からなる異業種集団であり、このような装置について、様々な角度から研究を進めることを目的としています。このため、2006年3月に研究活動を開始して以来、津波・高潮災害の防止の一助となるべく、関係各所に対し、技術的な説明や提案などを行って参りました。また、東日本大震災の際には、北海道のえりも港などに来襲した津波に対し、高潮・津波バリアーが一定の効果を発揮することが実証されました。こうした取組や教訓を経て、今日、高潮・津波バリアーは、国や港湾・漁港管理者である地方自治体、沿岸地域の立地企業などからご採用いただいております。今後は、皆様方のご意見を踏まえつつ、防災・減災技術の充実・強化に努めて参る所存ですので、引続き当研究会へのご指導・ご鞭撻をいただきますようよろしくお願いいたします。また、当研究会では、皆様方からのご質問やご要望に対してすみやかにお答えできるよう、研究会事務局を相談窓口とした体制を整えておりますので、是非ご利用いただければ幸いと存じます。

2023年11月

高潮・津波バリアー研究会
会長 丸山 隆英

高潮・津波バリアー研究会とは

高潮・津波バリアー研究会は、港湾水理、建設資材、鋼構造、膜構造の専門家からなる異業種集団です。

高潮・津波バリアー研究会の構成

高潮・津波バリアー研究会の構成

高潮・津波バリアー研究会 事務局

JFE建材株式会社 内(的場・野崎)
〒108-0075 東京都港区港南1丁目2番70号 品川シーズンテラス11階 TEL:03-5715-7640 FAX:03-5715-1035